■『吉原治良展』 IN 国立近代美術館
今日まで開催されていた『吉原治良展』 IN 国立近代美術館へ。
http://www.momat.go.jp/Honkan/Yoshihara/index.html
『誰にでも描けそうで 彼にしか描けない円。』
チラシにそう書かれていて、とても気になった。
最終日に滑り込みで行ってきて良かったなぁっとしみじみ。
HPにも載っているが、彼の作風は常に新しい絵を求めて変化している。
始めの頃の"静物と風景が混ざっている絵"は面白い。
ごちゃっとした感じをあまりさせず、外の空への開放感を感じつつ、手前の魚などの静寂を感じる。
ここから、どんな遍歴をへて"円"の絵に向かうのか楽しみになってくる。
ピカソっぽい絵もあれば、コラージュした抽象絵画、
そして戦時中の絵画はまた具象へと変化していく。
戦時中の時代は抑圧を受けつつ描き、青や茶色で色彩を抑えた作品が多かった。
どうしても戦争と結びつけて観てしまうので、
黒い鳥達が舞っている絵もその鳥が爆弾のように見えてくるし
『潮干狩り』という作品も全然楽しそうじゃなくて亡霊のような雰囲気を感じてしまう。
その後、《作品(UNTITLED)》という作品が続く。
黒の線が幾重にも重なっていたり、厚塗りを重ねている作品で、
画家は何を描こうとしていたのだろう?観てても分からないかから
"実際に何を描こうとしていたのか"を推し量るよりも、絵から受ける印象からイメージを好き勝手に広げていた。
そして、いよいよ『円』へ。
遠目から、円の作品が見えたときに、すごくワクワクした。
作品のサイズは大きくて、円も大きい。すっぽり入りそうだ。
今までの作品の、ごちゃごちゃしていたものがすっかりそぎ落とされて、シンプルかつ大胆!!
ちょっと気品を感じるような円の作品も並んでいて、
"黒地に白いほっそり、しなやかな線で円が描かれた作品"は、おぼろ月夜を連想した。
大きな円の作品が3つ続いたあとに、HPやチラシに出ている"黒地に赤い円"の作品が展示されていた。
面白い。あれこれ想像してみようと試みたが途中でやめた。
観る私も、シンプル単純に作品の面白さを楽しみたい。
この作品はシンプルだけど"どぉ〜ん"と私の中に残った気がする。
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ここの所蔵作品展示も結構、作品が入れ替わるので、幾たびに違う発見があり面白い。
・上村松園の『新蛍』はシンプルな空間に着物を着た女性と一匹の蛍。
空間、余白のバランスが心地良くて、日本画の繊細さを自分の写真にも活かしたくなる。
・棟方志功の作品はとても好きなので、遠目から棟方志功の作品を発見しただけで無条件にワクワクする。
・香月泰男『水鏡』男の子が水面をのぞいている。
この人の描く絵の"暗さ"というか"深さ""重み"みたいなのが気になる。
・岡本太郎『燃える人』は鮮やかな色が飛び交い、エネルギーが飛び交っている。
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小企画として下記も開催されていた
『持続/切断−毛利武士郎・村岡三郎・草間彌生・河原温』
http://www.momat.go.jp/Honkan/jizoku.html
4人の作家の初期作と、80〜90年代の近作が並列展示されている。
初期作品から30〜40年近く間が空いている。
HPより↓
「両者の間を「切断」するさまざまな要因と同時に、1人の作家の強靭な造形意志の「持続」をも浮かび上がらせる」
なかなか面白いコンセプトだと思う。
(展示観てもちょっと分かりにくかったが。。。)