『“飛べなくなった人”石田徹也展』



はるばる、静岡へ


★★★『“飛べなくなった人”石田徹也展』〜12/28 静岡市駿府博物館へ
http://www.at-s.com/bin/even/cale/cale0000.asp?yid=A142054396


今回は石田さんの家で持っている作品42点が展示されている。
何回観ても惹き付けられる。
私は、今年6月ぐらいに銀座のギャラリー3箇所で開催された遺作展に
何度も足を運んでその石田ワールドにすっかり魅了されてしまっているため、
もうこれらの絵を観ても、うつろな感じとかはするが"強烈な恐怖感"は感じない。
きっと石田さんの穏やかな部分を感じながら観てしまうからだと思う。


1996年頃のひとつぼ展でグランプリを取った頃の作品が多く展示されていた。
画集では暗めな色合いも原画はもっと明るい。
大きなキャンバスに描かれていて、ユーモアも感じる。
ガーディアンガーデンのチャリティの企画で、凧に絵を描くのがあり、石田さんの作品は
「にんじんの着ぐるみを着ている男が直立不動」
不気味な雰囲気するけど、どうしてこんな発想になるのやら〜。
石田さんの頭の中身をのぞいてみたくなる。
他の絵も、発想が面白い。


ただ、館長さん?が、兵士の絵を見て、
「若いんだから思い切って前へ進めばいいのに、戦う前から逃げちゃっているよね。
どの絵も戦おうとしていない。最近の若い人はそうなのかな」
といったようなことをおっしゃっていて、確かに、逃げている絵が多いと思った。
前へ進もうとしていない。


飛べなくなった人の絵で描かれている人も、果たして飛ぶことができていたのだろうか?


会場には感想のノートが置いてあり、いろいろな人がさまざまに感じていることが分かる。


石田さんの遺作集にのっている言葉で
「僕の絵を見て、笑ってる、怒ってる、悲しがっている…。
そういう人が同時にいるのが理想」
とあり、それがまさにおきている。


今回、2004年ごろの作品が少なく、
透明感が出てくる作品や、昇華しているような作品が少なかったので、
その頃の作品をまた観たい。
1996年頃の作品は社会風刺を独自の観察眼で描いているが、
そこに描かれている人の感情は薄い。
ただただ他のものから動かされている印象を受けるのだが、
最近の作品に描かれている人にはなんとも言いがたい感情をもっている。
ちょっと気持ちがイタくなってしまうのだが…


来年7月に今度は静岡県立美術館で展示があるので
それまで待っていよう。
http://www.mercury.sannet.ne.jp/galleryq/news_subwin018.html
↑このHPにのっている自分が洗面台になって泣いている絵をもう一度観たい。